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木下 正弘
JAERI-M 82-185, 41 Pages, 1982/11
本報は、多成分分離カスケードのコンピューターシミュレーションに関する著者の現在までの研究成果を系統的に整理したものである。1つの結論として、分離係数の大きい場合にでも適用できる非常に強力なシミュレーション手法が開発されている。その手法は、段間流量及び段分離係数(上昇流と下降流の組成の関数となっていてもよい)が計算の入力となっている場合に有効である。シミュレーション手法の適用例として、多孔質隔膜法による水素同位体分離カスケードシステムの定常シミュレーションが行われている。フィードの条件及び希望出力条件を例として与え、システムのシミュレーションを行い、システム構成及び設計・操作変数の値の決定がなされている。
木下 正弘; 成瀬 雄二
Journal of Nuclear Science and Technology, 18(9), p.718 - 726, 1981/00
被引用回数:5 パーセンタイル:58.06(Nuclear Science & Technology)多成分カスケード計算を行なうための1つの新しい解析手法を開発した。モデルは、多段フィード、多段サイドカットを考慮できる汎用性の高いもので、解析手法は、モデル式全体を同時に取り扱い、厳密解を傾斜法によって効率的に求めるものである。開発した解析手法を用いて、核融合炉燃料給排気系における水素同位体分離プロセス用に多孔質隔膜法を採用した場合を想定し、カスケードシステムの定常分離特性を解析した。分離仕様を満たすことが出来るようなシステム構成(2つのカスケードと2基の同位体平衡器から成り、2つのフィードバック流れを持つ)を考えると共に、各カスケードに対してパラメーターサーベイを行なった。その結果、上記解析手法の有用性が確認された。同時に、多孔質隔膜法は、わが国においてもかなりの技術経験があることを考えると、上記プロセス用に有望な方法の1つとして再評価する必要があるものと推定された。
吉田 浩; 藤根 幸雄; 斎藤 恵一朗; 大内 操; 成瀬 雄二
JAERI-M 8527, 49 Pages, 1979/11
本報告は、2分割型拡散筒から構成されたHertz型カスケードによるアルゴン同位体分離研究のうち、全還流条件における実験結果について述べたものである。本研究によりHertz型カスケードでは、カスケードの運転特性が安定しており操作が容易であることならびに2分割型拡散筒の分割比を増すほど段分離係数が向上することを実証した。2分割型拡散筒は、分離係数に影響を及ぼす諸因子のうちカットの効果を最大限に活用したものであり、カスケード所要段数を大巾に削減する上で極めて有用な分離器といえる。
吉田 浩; 藤根 幸雄; 清水 徳; 斎藤 恵一朗; 大内 操; 水林 博; 岩田 功*; 成瀬 雄二
JAERI-M 8494, 291 Pages, 1979/10
再処理工場廃ガス処理を目的とした多孔質隔膜法によるクリプトン放出低減化プラントの概念設計を行った。即ち、2分割型拡散筒からなるHertz型カスケードを中心とした排ガス前処理系、第1カスケード系、貯蔵系、建家などを含むシステム全体の仕様(システム構成、エンジニアリングフローシート、主要構成機器の諸元、プラントレイアウト、建家、遮蔽、支援設備)および運転方法を明らかにし、種々の条件下におけるプラントの建設費および操業費を推定した。この結果、本法が技術的にも経済的にも液化蒸留法および溶媒吸収法に遜色のないことが明らかになった。
吉田 浩; 藤根 幸雄; 斎藤 恵一朗; 大内 操; 成瀬 雄二
JAERI-M 8374, 50 Pages, 1979/08
本法は、多孔質隔膜を装着した5段からなる工学的規模の方形カスケード実験装置を用いて実施したアルゴン同位体の分離に関するものである。ここでは、カスケードの基本的な運転方法の1つである全還流操作をとり上げ、カスケードおよび拡散筒の分離特性と操作条件との相関を調べた。本研究により以下のことが明らかになった。(1)実験に用いたアルミナ隔膜の細孔直径d、細孔長さl、迷宮度dは、それぞれ約400A、2000~2200および13~15(-)と推定された。(2)本隔膜の透過係数Qexpは供給流圧力Phの広い範囲(0.6~2kg/cmA)において一定であり、アルゴン同位体の分離過程がほぼ理想的なKnudsen流の条件に従うものであると推定された。(3)分離係数影響因子の評価法の1つとして、隔膜透過レイノルズ数(Re)bをパラメータとする次のような補正因子k=0.980-eを得た。(4)隔膜近傍における流れの効果Zの評価式としてガスの流速、物性値および隔膜の表面摩擦係数を関数とする実験式を得た。
成瀬 雄二; 吉田 浩
JAERI-M 7858, 75 Pages, 1978/09
多孔質隔膜法による気体の分離プラントを設計、運転するためには、種々の操作条件におけるカスケードの定常特性および非定常特性を十分に把握しなけれはならない。本報告書は、多孔質隔膜法に関する既往の研究を概観し、各理論における考え方、前提条件などを整理するとともに、実際の分離操作において想定される種々の分離特性の評価方法を検討したものである。すなわち、実際の隔膜、拡散筒における分離機構の解析法、種々のカスケードの設計法ならびに分離プラントのスタートアップと制御方式などの非定常問題の解析法について説明した。
成瀬 雄二; 吉田 浩; 藤根 幸雄; 松田 祐二; 丸山 庸一郎; 田中 俊和*; 青地 哲男
JAERI-M 7822, 99 Pages, 1978/09
本研究は、ガス拡散法によるウラン濃縮の工学的研究の一環として実施したものであり、実際のプラントにおいて想定される種々の操作条件下でのカスケード諸特性を調べ、プラントの設計および運転上の問題に関する知見を得ることを目的としている。本稿では、この目的のために製作した工学的規模のカスケード実験装置の設計条件、装置各部の仕様、運転特性ならびに設計上の考え方を明らかにし、さらにカスケードの試運転結果について報告した。これより、以下の事柄が確認された。(1)実験装置の各部は、広汎な実験範囲において、ほぼ設計通り操作することができる。(2)カスケードは、制御性が高く操作が容易である。(3)アルゴン同位体の分離実験において要求される高い気密性が、装置全体について確保できる。
成瀬 雄二; 吉田 浩; 藤根 幸雄; 松田 祐二; 清水 徳; 斎藤 恵一朗
JAERI-M 7275, 40 Pages, 1977/09
環境保全の観点から、再処理工場オフガス中のクリプトン分離-85の放出は、できるだけ少なく抑えることが望ましい。このために、液化蒸留法、溶媒吸収法、選択透過膜法など幾つかの方法が研究されている。多孔質隔膜法(ガス拡散法)により得られる分離係数は、一般に小さいが、無機多孔質隔膜の挿入された2分割型拡散筒の採用により、段分離係数をかなり改善することができた。カスケードの所要段数、濃度分布、隔膜面積、拡散筒寸法、圧縮機所要動力などについてクリプトン除去プラントの予備設計を行ったところ、カスケードの配置は非常にコンパクトにまとまり、操作も簡単であることが判明した。以上の研究により、多孔質隔膜法は、クリプトンの除去・回収法として、安全性および操作の容易さから可能性の高い技術の一つであることが明らかになった。